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B&W CDM1 ツイーター メンテナンス(訂正あり)

前回の記事でB&W CDM1のツイーターをTW-20に取り替えてから、かなり良い音を出してくれるようになったCDM1ですが、元のツイーターを分解した際に気付いた点がありました。

『マグネットにはボイスコイル用の溝があり、粘りのあるグリスのような物がある程度充填されていました。


これを書きながら「もしかしてこのグリスが劣化して粘度が上がり、ボイスコイルの動きを邪魔していたんじゃないか!?」と考えました。』
 
 
と言うことでメンテナンスというか実験と言うかそんな感じです。
 


まず断面図を簡単適当に書いてみました。
振動板+ボイスコイル+フレームが一体となった部品をマグネットに取り付けてあるのですが、ボイスコイルは薄ミドリの部分の溝に入る構造になっています。
薄ミドリの部分には茶色いグリスのような物が充填されていました。
※単純なグリスでは無く「磁性流体」という物との御指摘がありました。(コメント欄参照)
黒っぽい部分は砂鉄状の物がミッチリ詰まっています

このグリスのような物を取り除こうと爪楊枝で穿ると、砂鉄のような細かな粒子が高い密度で詰まっており、強いマグネットに吸い付いていました。
溝にそって爪楊枝を動かそうとしても、強い抵抗力で動かせなくなるくらいです。

そこでこう考えました(下の図)
ボイスコイルに電流が流れて磁力が発生した場合には、砂鉄がどのような状態に変化するかは想像がつかないのですが、密度からして相当な摩擦抵抗になっていると思われます。
また、周波数の低い動作ほど砂鉄等の摩擦抵抗が強く、周波数が高くなれば摩擦抵抗が低くなっているのではないだろうかと想像しました。
それであればツイーターが仕事をし始めるクロスオーバー周波数の3kHz周辺で音が詰まる様な感じがし、高い周波数ではある程度普通に音が出るという状況と合致すると思います。

自信はありませんが、その考えに基づき砂鉄のような物と古くなったグリスを除去し、垂れ落ちない程度の新しいグリスを充填してあげれば本来の動作に近付くだろうと。

あとは一心不乱に除去作業を続けるだけです。
しかし強力な磁力に吸い付いている砂鉄状の物は中々除去出来ずに苦労しました。
それでも何とか1ユニットに30分~1時間程掛けて穿り出し、取り敢えず傍あったSoft99のグリーススプレーを充填する事が出来ました。
(そういえばこのグリスの電気絶縁性は考えてなかった…。今のところ問題無さそうだからいいか)
※後日磁性流体に入れ替え予定

新しいグリスを充填したところ
 振動板とボイスコイルを破損しないように気をつけながら組み戻して作業完了です。
一応、一晩放置してグリスが垂れてこないか様子をみましたが、溝から流れ出てくる様子も無く一安心。


先日取り替えたばかりのTW-20に一度どいてもらって再設置です。
TW-20と比較が出来るように左のユニットだけ入れ替えてみました。
少しドキドキしながら適当に曲を掛けてみると、ちゃんと音が出ているようです。
気になる3kHz周辺もストレス無く聞こえます。
しばらくTW-20とメンテナンスしたコレとを交互に耳を近づけて聞き比べましたが、パッと聴きでは遜色なく感じました。
一応成功したようです。

気を良くして残りの一方も取り替えて試聴。
片側ずつの状態では気付きませんでしたが、はっきり違いが感じられました。
強打したシンバルや強く高いトランペットの音の倍音が綺麗に聞こえます。
その影響なのか空間も広く感じる場面が増えました。
金属系の楽器はTW-20よりリアルになりました。
ボーカルも以前のように引込まなくなりましたが、かといって一歩前に出て来るほどではなく、位置的には普通な感じですが、明瞭に歌っていて不満は特に感じられません。

ただ全てが良くなった訳ではなく、「線が少し弱くなったかな」、「ちょっと硬めかな」とも感じました。
これは気に入らない程ではなく、全体としては許容できる範囲、キャラクターとしても納得できる範疇です。
好みが分かれるところかも知れないですね。

砂鉄状の物の正体は、経年で吸い寄せられたものなのか、意図して混ぜられていた物なのか見当が付きませんが、グリスとしては劣化していたと考えて良いと思うので、CDM1を所有されている方で高音域に違和感を覚えている方はメンテナンスを一考されても良いかと思います。

折角取り替えたTW-20もとても美しい音を出してくれるのですが、少しの間この状態で様子を見て、どちらにするか検討したいと思います。

この記事がどなたかの参考になれば幸いです。
ではでは。





6 コメント:

2012年5月6日 20:58 みっきぃ さんのコメント...

はじめまして、先週CDM1を中古で買ったものです。
鳴らして高音の詰った感じが残念に思ってったところ、ここのサイトの記事を見つけました。
さっそくツィータばらして茶色のグリース部分をみたところ、貴殿のように鉄粉がつまった
様子はないものの、ボイスコイルが浸かってた部分は硬化していました。
その硬化した部分を爪楊枝で除いてあげると、私の場合はグリースの粘度も柔らかく
問題なさそうで、除いた量もそれほどでもないのでそのままボイスコイルを組み立てました。
結果、高音の倍音がでてシンバルやピアノのタッチなどの響きも自然になり
ボーカルやコーラスなども分解能が上がったよう聞こえるようになりました(^^)/
振動板やダンパー部についていたゴミなどをエアーで飛ばしたのもあるかと思いますが
この記事にあるように、ボイスコイルをフロートさせる(?)グリース部が硬化して
たのが一番阻害してたと思います。1,2ケ月様子見て、充填するならしようかと思います
ちなみに私は、真空管300Bの自作のシングルアンプで聞いています。
記事参考になりました。ありがとうございましたm(__)m

2012年5月10日 23:02 みっきぃ さんのコメント...

その後興味をもって調べましたが、この茶色のグリース状のものは「磁性流体」で、
グリースではありませんよ!
磁性流体は、ボイスコイルと磁石との距離をフローティングさせて適正な位置に保持する
働きと、音出すときボイスコイルが動き、発生する熱をエネルギーを冷却する働きが
ありますので、もしただのグリースを充填してまったら、そのまま
聞いているとツィータのボイスコイルを破損してしまいますよ!

洗浄して「磁性流体」に充填しなおしてください!

2012年5月11日 2:22 akiccyo さんのコメント...

みっきぃさん、遅くなってスミマセン。
貴重なコメントと御指摘を有難う御座います。
磁性流体って物だったんですね。
もしかしたら私の「砂鉄のような物」は磁性流体が磁性体とベース液とに分離してしまっていたのかもしれませんね。
単にチリ・ホコリと一緒に鉄粉が吸い付いた可能性も否定できませんが。

横浜ベイサイドネットさんでも取り扱いがあったので後日取り寄せて入れ替えしようと思います。

CDM1はこのツイーターさえメンテしてあげれば長く使えそうですね。
有難う御座いました。

Ferrotec 「APG836」 フェロフルード「5cc」
http://www.baysidenet.jp/shopdetail/010008000001/brandname/

Ferrotec スピーカー用磁性流体
http://www.ferrotec.co.jp/products/magnetism/speaker/

2013年11月16日 17:56 ツッチー さんのコメント...

こもった音しか出なくなって諦めていたCDM1でした。たまたまこのブログを見つけ駄目元でこの記事の通りにツイーターメンテナンスをしたところ、見事に生き返りました‼︎
久しぶりに生き生きとしたJAZZを鳴らしてます。
貴重な情報、有難うございました。

2013年11月28日 0:44 akiccyo さんのコメント...

お返事遅くなってしまいゴメンナサイ。
お役に立てたようで何よりです。
この記事の後、APG836を入手しメンテナンスを完了しましたが、適当グリス処理とは基本的に音に変化は無かったように思います。
余計な心配が無くなった分、安心して音出し出来るようになりましたが(^^;
私のCDM1は訳あって手放してしまいましたが、末永く可愛がってあげて欲しいと思います。

2014年10月8日 0:20 匿名 さんのコメント...

10数年間しまいこんでいたCDM1を久しぶりに稼働させてみたらひどい音でガッカリしていました。
ツイーターを分解してみたところやはり同様な状態になってました。
このブログを参考に、APG836を入手して劣化した物体との入れ替え作業をしてみました。
磁性流体の注入が不安でしたが、磁力で自然に吸い込まれていって程々の量が注入できました。
無事に鳴るか心配でしたが結果は素晴らしいものでした。
一度はあきらめかけていたCDM1とまだまだ付き合っていけそうです。
ありがとうございました。

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